悪性神経膠腫の治療薬
テモダールカプセル(一般名:テモゾロミド)新発売
脳腫瘍関連の適応を持つ新規薬剤としては19年ぶりの新薬
シェリング・プラウ株式会社(本社:大阪市中央区 社長:鳥居正男)は、(2006年9月15日)悪性神経膠腫の治療薬、「テモダールRカプセル20mg/100mg」(TemodalRCapsule
20mg/100mg)(一般名:テモゾロミド)を新発売いたしました。
テモダールRが適用となる悪性神経膠腫において、退形成性星細胞腫と膠芽腫(膠芽腫は原発性脳腫瘍の悪性神経膠腫の中で最も多く見られ、かつ最も悪性度が高いとされている)が合わせて95%を占めています。標準的治療は初発の場合、腫瘍を取り除く減量手術後に放射線療法と化学療法の併用、その後の維持療法としての化学療法となります。また、再発の場合は、再手術が可能な場合であっても放射線療法の再施行はほとんど無理なため、化学療法の適応となります。
テモダールRは、細胞毒性を示すアルキル化剤に分類される抗悪性腫瘍剤で、経口投与で脳脊髄液に良好な移行性を示すことにより高い治療効果をもたらす新規化合物です。細胞毒性を有する抗悪性腫瘍薬は腫瘍細胞など、急速に分裂する細胞の複製を阻害することで、抗腫瘍活性を示します。脳腫瘍関連の適応を持つ新規薬剤として、テモダールRは日本で19年ぶりに承認された新薬で、この種の疾患に単独で使用可能な内服薬はテモダールRしかありません。初発の膠芽腫に対して、テモダールRと放射線との併用療法は、放射線単独療法に比べ生存率の有意な改善を示すことが立証されました。新規診断患者573名を対象とした臨床試験規模は、世界で初めてのことでした。(New
England Journal of Medicine 2005年3月10日号で発表)
なおテモダールRは2005年7月22日、厚生労働省の「未承認薬使用問題検討会議」により早期承認申請の要請を受け、申請後、同年9月30日付で「優先審査品目」に指定されました。長年、悪性神経膠腫に対する治療が停滞していた中で、治療体系を変える可能性の高い抗腫瘍薬剤と位置づけられ、テモダールRは患者さんの治療に貢献することが期待されています。
悪性神経膠腫について
脳腫瘍の神経膠腫に分類される腫瘍群のうち、悪性度の高い腫瘍を総称して悪性神経膠腫と言います。脳腫瘍のWHO診断基準のグレード分類では、平均的な予後によりグレードI~IVに分けられます。悪性神経膠腫のうち悪性の星細胞腫は、浸潤性、びまん性進行性の原発性脳腫瘍で予後が悪く、通常、グレードIIIの退形成性星細胞腫およびグレードIVの膠芽腫に分類されます。一般的に退形成性星細胞腫と膠芽腫は同一疾患の連続体であると考えられており、退形成性星細胞腫は膠芽腫へと悪性化する傾向があるとされています。退形成性星細胞腫は進行性の腫瘍であり、膠芽腫は成人における原発性脳腫瘍の中で最も多く見られ、かつ最も悪性度が高いとされています。日本における悪性神経膠腫の年間発生患者数は約2,300人と推定され、そのうち退形成性星細胞腫と膠芽腫の割合は合わせて95%以上(約2,200人)を占めています。
テモダールRについて(海外)
1999年1月にEUで、標準的な治療後に再発または進行した膠芽腫の治療薬として承認され、その後、標準的な治療後に再発または進行した膠芽腫や退形成性星細胞腫などの悪性神経膠腫の治療薬として承認を受けました。また、1999年8月に再発の難治性退形成性星細胞腫の治療薬として、迅速審査によりFDAから承認を受けました。さらに、初発の膠芽腫の放射線治療との併用およびその後の維持療法の治療薬としてFDAから2005年3月に承認を受け、EUでは同じ適応症で2005年6月に承認を受けました。テモダールRは現在、世界78カ国以上において承認されています。
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